独断と偏見で選ぶこの世で最も心に響く名曲10選(その1)<ジム・ホールのアランフェス協奏曲>

 これは、私の勝手に選ぶ<この世で最も心に響く名曲>を極め付きの名演で紹介しようというシリーズです。(ただし、今までのブログで紹介した曲は除きます。)
 ただ、選曲は全く私の独断と偏見によるもので、大いに異論はあるでしょうが、一種の遊びと思ってお許し願います。
 ラインナップの一部は以下の予定です。

1、アランフェス協奏曲第2楽章(ロドリーゴ)          
2、ツィゴイネルワイゼンサラサーテ)            
3、アニュス・デイ(ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」より) 
4、ヴィリヤの歌(レハールメリー・ウィドウ」より)     
5、ピアノ協奏曲第2番第2楽章(ショパン)           
6、清らかな女神よ(ベッリーニ「ノルマ」より)         
  ・・・・・・
 1、アランフェス協奏曲第2楽章
 ロドリーゴの名曲「アランフェス協奏曲」の演奏では、勿論本家本元のナルシソ・イェペスも、日本の若き名手の村冶佳織もいいと思いますし、マイルス・デイビスギル・エヴァンスと組んだアルバム「スケッチ・オブ・スペイン」もジャズ史上に永遠に記憶される屈指の名演です。(でも、決して好きではありませんが・・)
 MJQ・ウイズ・ローリンド・アルメイダもチック・コリアもそれぞれ味のあるいい演奏を聴かせてくれます。

 しかし、このジム・ホールのアランフェス協奏曲は、ギターのジム・ホールを始め、チェット・ベイカー(tp)、ポール・デスモンド(as)、ローランド・ハナ(p)、ロン・カーター(b)、スティーブ・ガッド(ds)といった、そうそうたるメンバーによる二度とないようなセッションが、自在のコンビネーションで、しかもいかにも日本人の感性にぴったりの入神の演奏を行ったもので、第1回目に取り上げるにふさわしい作品だと思います。
 ジム・ホールポール・デスモンドチェット・ベイカーもローランド・ハナも、沈むような哀しみを内に湛え、心の襞(ひだ)にひたひたと染み透るような切々とした哀愁漂うインプロヴィゼーションを、絶妙な呼吸で次々と披露し、しかもロン・カーターのベースとスティーブ・ガッドのドラムが音の流れの時間軸に沿ってしっかりとしたリズムを刻んで、各プレーヤーの演奏を支えています。また、アレンジの巧みさがアドリブの名人芸と相まって、その深い味わいと美しさは筆舌に尽くし難いものがあります。神韻縹渺とはまさにここのような演奏のことを言うのでしょう。(いささか美辞麗句のオンパレードになってしまったような気がしますが。)
 この演奏は、アランフェス協奏曲としてのみならず、ジャズの名曲・名演としても史上に燦然と輝く傑作です。以下は2分割ですが、全曲が聴けます。